■ダミアンが得点後に長谷川の元に走り寄り…
この得点が、ダミアンにとって10得点目だった。21年シーズンで最速の2ケタを達成するゴールでもあった。ダミアンは得点後、最初は「スーパーマンが服を破り飛んでいく」というゴールパフォーマンスを息子に向けて披露したが、その後、得点機会を作った長谷川の元に寄っていく。そして、この188センチ・90キロのストライカーは164センチ・60キロの長谷川竜也を軽々と持ち上げたのだ。
長谷川は久々の先発出場だった。スターティングメンバーに名を連ねたのはこれが6試合目だが、川崎にとって天王山だった名古屋との首位攻防2連戦では出場機会がなかった。しかもアウェイで行われた4月29日の初戦はベンチ外。悔しい思いがあったはずで、ガンバ戦の試合前のウォーミングアップではチームの先頭を走っていた。試合への思いが満ちあふれていた。
そんな長谷川を思ってか、ダミアンは長谷川を称えるように担ぎ上げると360度振り回してみせた。ダミアンも長谷川も満面の笑顔。ダミアンは長谷川を下に降ろすと今度は肩を組んで、まるで親子のような姿を見せて自陣に戻った。2人の関係性を物語るシーンだ。
当時の長谷川は、三笘薫と先発の座を争う立場にあった。この試合でも、70分に三笘と交代。その三笘が、短い出場時間ながらドリブルから得点を奪って、試合の行方を決定づけた。