■指揮官が大声で叫んだ言葉

 選手たちがスタジアムを一周し、サポーターへのあいさつを済ませたあと、ピッチに戻ってきた男がいた。それが森保監督だ。「MORIYASU」と書かれた横断幕が掲げられたエリアに向かうと、サポーターに向かって大声を絞り出した。口に手を当てて叫ぶ姿は、自らの思いをサポーターに届けたいという必死さが感じられた。そしてそのまま時計回りにスタジアムを一周。サポーターが多くいる場所でたびたび立ち止まると、その都度、声をふりしぼり、サポーターに共闘を呼び掛けた。それは、自らの決意を示すかのようだった。

「一緒にW杯に行きましょう!」
「一緒に戦いましょう!」

 東京五輪に挑む最後のテストマッチであるU-24スペイン戦で、森保監督は選手と一緒にノエスタ(神戸市)を一周したが、そのときはサポーターに言葉を発しなかった。選手に自主性を促すように見えたその姿は“父親”のようだったが、埼玉スタジアムでのその姿はまったく別のものだった。

 11月11日のベトナム戦でも勝利をつかんだ日本代表は、最悪の状況は脱したように思えた。しかしそれも、22年1月から始まる最終予選を勝ち進めなければ意味がない。2022年、森保JAPANはカタールへの道をこじ開けることができるだろうか。

PHOTO GALLERY ■【画像】W杯予選の試合後、観客が帰るピッチに向かって森保監督が絶叫する写真■
  1. 1
  2. 2
  3. 3