さらに、これが加盟協会にとっては最も大事なのだが、現在1協会あたり平均4年間で約600万ドル(約6億8400万円)の分配金が、4倍以上の2500万ドル(約28億5000万円)になるという。増収分の大半を加盟協会に還元するというのだ。世界のサッカー協会の大半は赤字に悩み、強化費や施設整備などの捻出に苦しんでいるという現実を考えれば、この金額を見ただけで後先を考えずにFIFAの「2年ごと開催案」に賛成してしまう協会が数多く出る可能性は十分ある。

■世界のサッカーが分裂する恐れ

 だが「2年ごとのワールドカップ」は、1世紀近くにわたって人類に愛されてきたこの大会に大きなダメージを与える恐れが大きい。UEFAチャンピオンズリーグの隆盛で4年間に125億ドル(約1兆4250億円)もの収益を挙げているUEFAとの対立が激化し、世界のサッカーが分裂する恐れは十分ある。それだけでなく、オリンピックや他の競技の世界大会にも深刻な影響を及ぼし、「サッカー離れ」「ワールドカップ離れ」という重大な事態を引き起こす可能性もある。

 ただでさえ、ワールドカップは「死」に向かって、いま大きな曲がり角を曲がろうとしている。「48チームの大会」だ。2026年にアメリカ、カナダ、メキシコの3カ国による共同開催で行われる大会は、出場チームがこれまでの32チームから一挙に16チーム増え、大会方式が大きく変わる。3チームずつ16グループで行われるグループステージは、3チーム中2チーム(計32チーム)がノックアウトステージに進めるということで、日程の大きな不公平とともに、「手抜き試合」が増え、興味は失われるだろう。

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