どんな選手にも、スパイクを脱ぐ時はやってくる。だが、偉大な選手には、それなりのラストステージが用意されてしかるべきだ。「アジアの壁」の日本代表ラストマッチに蹴球放浪家・後藤健生の心が冷え込んだのは、冷たい雨だけが理由ではない
■国外移動なのに国外へ
開催国のパラグアイと一緒だったA組は、最初の2日間は首都アスンシオンにあるパラグアイ最大のスタジアム、エスタディオ・デフェンソーレス・デル・チャコ(4万2000人収容)で行われたのですが、グループ最終日の日本対ボリビアとパラグアイ対ペルーの2試合はどういうわけか(おそらく、パラグアイ国内の政治的な事情なのでしょう)ペドロ・フアン・カバジェロという遠隔の都市で行われることになっていたのです。
交通も不便だったので、「カバジェロまでどうやって行ったらいいのか?」と思っていましたが、メディア関係者用にチャーター便が運行されることになったので安心していました。
ところが、ペドロ・フアン・カバジェロにはちゃんとした飛行場がなかったので、飛行機はブラジル側のポンタ・ポランに到着するというのです。そして、ブラジル連邦共和国という国に入国するにはビザが必要になるのです。チャーター機を利用するためには、まずアスンシオンにあるブラジル大使館領事部に行って、ビザを取得する必要がありました。
しかも、ビザ代(19USドル)は大使館の窓口で払うのではなく、ブラジル銀行(BANCO DO BRASIL)のアスンシオン支店に行って払い込みをして、その領収書を持って大使館に行かなければならないのです(日本人の短期訪問のビザが免除になったのは、2019年になってからです)。