サッカーはスリリングなスポーツだ。国外での「アウェイゲーム」がスリリングになることもある。蹴球放浪家・後藤健生も遠征先で果敢にトラップをかわしてきたが、出会うのは敵ばかりではない。性善説を信じたくなる瞬間も、随所に転がっている。ロシアのレストランでも、だ。
■どこの国でも大多数は善人
「蹴球放浪記」にお付き合いいただいている読者の皆さまはご承知のように、これまでこのコラムには何人もの悪者たちが登場しました(といっても、“小悪人”ですが)。
ブエノスアイレスで僕にピストルを突き付けてきた若造もいましたし、ナイジェリアのラゴスの空港では金をせびろうとしていろんなことを言ってきた連中がいました。南米各地では、チョコレートとか臭い匂いを発する液体を僕にかけてきた人たちもいます。
その結果、海外に行くと悪人がウユウヨしているような印象を持たれてしまうのではないかと心配しています。だいたい、“旅自慢”をする人たちの中には、ことさらそういうコワイ話を盛って武勇伝を語りたがる人が多いようです。
でも、どこの国に行っても、大多数は善人です。ただ、国によって、社会によって、悪漢存在率が0.1%の国もあれば、悪人が2%以上存在する社会もあるという、それだけのことだと思います。