■前田直輝の最大の武器「相手の足を止めさせる」シザース!
10月30日に行なわれたYBCルヴァンカップ決勝のセレッソ大阪戦で先制点を挙げ、11年ぶりのタイトル獲得に貢献した名古屋グランパスのレフティー・前田直輝。桜井さんは「三笘選手と同じくらいDFをかわす能力を持っている」と評価する。
「ただ、三笘選手とはかわし方が全く違うんですよね。前田選手は、カットインからシュートまで持っていくこともできるし、縦にも抜けられることが大きな特徴で、その突破を支えているのが“シザース”ですよね。左足で跨いでもう一度左足で触ってカットイン、もしくは左足で跨いでから右足で縦に突破と、2つを選べることが前田選手の武器だと思います」
ちなみに、シザースフェイントのコツも教えてくれた。
「シザースは、相手の足を一瞬止めることができればOKなんです。小さく跨ぐくらいでいい。必ずしも相手を思い切り左右に揺さぶる必要はないんですよ。そして、ずっと練習していれば、跨いだときに相手の足が止まるのが見えるようになるんです」
実際、前田のシザースを見ると、ボールにギリギリ当たらない小さな軌道で跨いでいることが確認できる。さらに、今シーズンのJ1第36節のガンバ大阪戦で柿谷曜一朗のゴールをお膳立てしたシーンでは、素早く小さく跨ぎ、ほんの一瞬相手の両足を揃えさせて止めていることが見てとれた。
現役時代、J1の舞台で相手DFを恐れさせていた「さすらいのドリブラー」桜井さんも称賛する日本を代表する若きドリブラーたち。今後その武器をさらに磨いて、日本代表をより高みへと導いて欲しい。
桜井直人 さくらい・なおと
1975年埼玉生まれ。浦和レッズでプロとしてのキャリアをスタートさせ、ヴェルディ川崎や東京ヴェルディ、大宮アルディージャでドリブルを武器に活躍。2001年には日本代表候補にも選ばれた。現役引退後は大宮と浦和で普及コーチを務め、現在は2013年に創設したドリブル特化型スクール「ソルプレッササッカースクール」で小学生を対象に指導を行なう。