久保建英のドリブルは「なぜ止められない」!?元浦和レッズ、現ドリブル専門スクール代表・桜井直人氏が分析するサッカー日本代表「最強ドリブラーの秘密」(2)の画像
久保建英   撮影:原悦生(SONY α9Ⅱ使用)

 12月7日、2022年1月21日に行なわれる「キリンチャレンジカップ2022」対ウズベキスタン代表戦に臨むサッカー日本代表のメンバーが発表される。

 その後も、ワールドカップアジア最終予選の中国戦、サウジアラビア戦と勝たなくてはいけない緊張感のある戦いがまだまだ続くのだが、そんな日本代表は11月17日、ワールドカップアジア最終予選のグループB第6節、オマーン戦に1-0で勝利した。前半、固いオマーンディフェンスを崩すことができなかった日本代表を救ったのは、後半開始と同時に投入されたMF三笘薫だった。

 後半がスタートするや否や投入された三笘は、武器のドリブルでオマーンDFを翻弄、次々とチャンスを作っていった。決して十分なサポートがあったわけではない。そんな中、彼は一騎当千の活躍を見せ、後半36分にはついに、左サイドを突破し、伊東純也の決勝点を導いてみせた。

 絶対に勝たなくてはいけない戦いでアシストを記録した三笘、そしてゴールを決めた伊東も、得点力不足にあえぐ森保ジャパンの数少ない誇れる武器、「相手を崩せるドリブラー」だ。そして、膝のケガから復帰し、12月5日の対アトレチコ・マドリッド戦で決勝ゴールを決めてみせたマジョルカ久保建英も敵を混乱に陥れるドリブルを持っている。

 彼らのドリブルはいったい、どこが、何がすごいのか――。

 浦和レッズ、ヴェルディ川崎、東京ヴェルディ大宮アルディージャで「サクドリ」と呼ばれる、スピードに乗って相手ゴールにどんどん迫っていく、切れ味鋭いドリブル大活躍。2001年には当時の日本代表、トルシエジャパンの候補にも選出され、現役引退後の現在は、2013年に創設したドリブル特化型スクール「ソルプレッササッカースクール」で小学生を対指導している「さすらいのドリブラー」桜井直人さんに、三笘をはじめとする日本人ドリブラーの凄さについて分析してもらった。(#1、2のうち2)

【その(1)に戻る】

■久保建英、バルセロナアカデミー仕込みの「引きつけてかわす」!フェイントは「一瞬の閃き」!!

 今夏の東京五輪にて、日本代表史上初となる3試合連続ゴールを記録したマジョルカ所属の久保建英。9月に負傷した右膝の半月板のケガから復帰し、12月5日に行なわれたアトレティコ・マドリード戦では、74分に交代出場。そして90分、自軍から超ロングカウンターを発動させ、スルーパスを受けた久保はそのままドリブルで相手ゴールへ突進。そして、アトレティコの名手、GKヤン・オブラクの股間を抜ける股抜き弾で決勝点を決めてみせた。

 完全復活も近い、サッカー日本代表への復帰も期待される若き日本のエースのドリブルの特徴について、桜井さんは「スピードに乗ってシュートまで持って行くこともできるけど、速さだけには頼っていないですね」と言及する。

「久保選手のドリブルの真骨頂は、ゆっくり運んで相手DFを引きつけておいて、絶妙のタイミングと足下のテクニックやフェイントでかわすこと。そしてボールの置き所も抜群ですね」

 と分析。

 東京五輪でのグループステージ初戦となった南アフリカU-23代表との試合でも、ペナルティエリア内で相手DFと対峙し、タイミングを見計らって左にかわしつつシュートを打てる位置に正確にボールを置き、ゴールを決めるシーンが見られた。

 さらにフェイントについては“これ”といった特定のものを多用するのではなく、

「引き出しが本当に多いですよね。そして、一瞬の閃きによって“その時のベスト”な選択肢を叩き出せるんですよね。才能と小さい頃から培ってきた感覚によって、頭の回転の速さが活きているドリブルと言えますね」

 と、バルセロナのアカデミーで育った久保ならではのドリブルの凄みを語ってくれた。

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