■驚くべき鋭さのロングカウンターから久保がゴール

 85分には久保の相棒のイ・ガンインもアウト。全員で守り、同点のままゲームを閉じよう、久保の攻撃能力が生きることはこのゲームの中では難しくなるだろう、そう思った瞬間のできごとだった。

 90分、アトレティコがフリーキックをゴール前に放り込み、その跳ね返りが守備につとめていた自陣アーク近くの久保の頭上に入る。

 それをヘッドで久保がつなぎ、そこから超ロングカウンターが発動。相手DF3人のウラを突くかたちで抜け出した久保に、スルーパスが通り久保が独走。

 ドリブル中にも何度か首を振って周囲を確認するもパスを出せるところはなく、そのままゴール前に突進。アトレティコの名手、GKヤン・オブラクの目の前で、久保は狙いすましたシュートを放つと、ボールはオブラクの股間を抜ける股抜き弾となって、ゴールネットを揺らした。

 久保の股抜き弾を決められたGKオブラクは、右手でピッチを3度叩き、屈辱と怒りをあらわにした。その鈍い音はピッチサイドのマイクもはっきりと拾っていた。

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