■後半に徳島が動いた
あれから2年。引き分けでもいい湘南と、引き分けではまずい徳島。またしてもそのシチュエーションとなった戦いは、45分があっという間に過ぎ去った。
互いに相手の隙をうかがう堅い展開となった前半、徳島は岩尾がマークされ、藤田譲瑠チマもボールをなかなか触れずに中央のスペースを見つけられない。久々の出場となった田向泰輝が左サイドバックのように上がってみたり、垣田裕暉が右サイドに流れてドリブルで打開しようとしたりと「ボールを持てたとしてもどこに穴があり、相手の守備の受け渡しを含めてどこに歪があるのかは、ポジションチェンジをしながら試行錯誤した」(試合後、岩尾)という状態だった。
しかし「サッカーは90分です。相手が良いオーガナイズをする中で、ギャンブルのようなプレーを選択するのではなく焦れずにプレーすれば、どこかでチャンスが来る」(岩尾)と焦りは見せない。
すると後半、スコアを動かしたのは徳島だった。
66分、左からのコーナーキックでサインプレー。ゴール前の密集地帯ではなく奥に蹴られたボールを、ペナルティエリア外から走り込んできた宮代大聖がボレーシュート。一度は弾かれたものの、岸本武流が「気持ちで押し切った」と詰めてゴールに吸い込ませた。