■西川「偉大な選手たちと一緒に戦えたことを感謝」

 デンを除く、3選手の別れのスピーチで、いずれも名前が挙がったのは、長年の戦友であるGK西川周作だった。試合後の会見で、西川は言葉を噛みしめながら、それぞれの選手への思いを口にした。

 「阿部選手はもちろん、宇賀神、槙野、トミー(デンの愛称)、偉大な選手たちと一緒に戦えたことをうれしく思っているし、感謝しかない。何としても勝って送り出したかった。阿部選手は、浦和を背負うという姿勢を見せてくれていた。マキとウガはいつも笑わせてくれて、サッカー以外の話もよくしていた。トミーは、沖縄のキャンプで合流した時から、チームに溶け込もうと努力していて、チームのことを一番に考えてくれていた。トミーとは、来シーズンにまたJリーグで対戦したいと思っています。このセレモニーは、自分にとっても辛かった。これからしっかりと自分が中心となって、浦和の責任を持ってやらないといけない。みんなに本当に感謝です」

 今シーズンの浦和は、若手選手や新加入選手が頭角を現し、チームを牽引した。その象徴ともなった大卒ルーキーのMF大久保智明は、「阿部さんにお疲れ様でしたと伝えると、頑張れよと言ってくれた。阿部さんもそうですが、改めて、槙野選手や宇賀神選手は、みんな僕が子供の頃から見ていた選手なので偉大だなと思った。そして、浦和というのは、覚悟を持ってプレーをすることが必要なチームだということも感じた。これからの自分のプレーや行動が大事になってくる」と、強い決心を口にした。

 さらに、「今シーズンは、鹿島戦に負けたりなど、大事な試合で落とすことが多かった。そういった試合は、緊張だったり、いつもとちがうところがあるので慣れが必要だが、来年優勝するためには、個人的にはもっと仕掛ける時のクオリティや成功率だったり、得点やアシストに絡むことを高めていかないと難しい。名古屋戦は消化試合だと思っていないし、成長できる機会にして、天皇杯で優勝したい」と、この短期間での成長を誓った。

 リーグ戦は5位以下の順位が確定したが、残すは最終節の名古屋戦と天皇杯のみ。西川は「阿部選手に天皇杯のシャーレを掲げてもらいたい」と話す。

 天皇杯を獲得すれば、目標としている来季のACL出場権が与えられる。チームを去るレジェンドたちを笑顔で見送るためにも、有終の美を飾りたい。

 

■試合結果

浦和レッズ 0―1 清水エスパルス

 

■得点

93分 中村慶太(清水エスパルス)

  1. 1
  2. 2
  3. 3