■楽しみな29日のオランダ戦

 オリンピックでは、このテンポが上がらず、かといって(岩渕以外には)個の力で何人でも抜き去ることができる圧倒的な力をもっているわけでもなく、各個が孤立し、まとまったチームとしての力づよさ(ダイナミズム)を生み出すことができなかった。しかし攻撃の最後の段階という大きな課題はあるものの、なでしこジャパンは再び世界の強豪に伍して戦うための戦い方を取り戻したように思う。

 アイスランド戦は、アルメルという小さな町の4500人収容のスタジアムで、無観客で行われた。しかし29日のオランダ戦は、この国の実質的な首都であり、オランダ第3の都市でもあるハーグの「カーズ・ジーンズ・スタジアム」(収容1万5000人)で行われる。雰囲気はアイスランド戦とはまったく違うものになるはずだ。だがなでしこジャパンも、この試合には、アイスランド戦には出場しなかった熊谷紗希岩渕真奈の出場も期待される。

 ボールを奪いに行くアグレッシブな守備、奪ったところから速いテンポでつなぐパスという、アイスランド戦で見せた「ベース」を失わず、そこにひとつ落ち着いた突破と相手ペナルティーエリア内でのプレーを積み重ねて、オランダ戦では、今後につながる戦いを期待したい。

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