なでしこジャパンにとって東京オリンピックは、悔しい結果に終わった。だが、時間は進んでいる。チームもまた、前進しなければならない。
新生女子日本代表は、新監督とともに歩み始めた。その第一歩をサッカージャーナリスト、大住良之が読み解く。
■「勝ち目」は見えてこなかったが…
アグレッシブにボールを奪い、テンポ良くパスをつないでボールを支配したなでしこジャパン。しかしそのプレーのなかで、得点の可能性、「勝ち目」はあまり見えてこなかった。
解決法はひとつしかない。攻撃の最後の場面を、個に頼らず、2人、3人のコンビネーションプレーで突破し、最後のシュートの場面ではペナルティーエリア内に少なくとも3人、できるなら4人の選手を送り込むような形にすることだ。「ビルドアップ」からいきなり「突破」に行くのではなく、「ビルドアップ」→「スピードダウン」→「コンビネーション突破」→「シュート」という手順を踏むというイメージの攻撃である。
しかしこうした重大な問題をかかえながらも、私は、このアイスランド戦のなでしこジャパンが、悲惨な戦いに終わったオリンピックから、早くも「正しい方向」に進み始めているように思えた。それはチーム全体にあふれる積極性であり、何よりも、「速いテンポのパス回し」という現代サッカーのベースをしっかりと追求しているからだ。