■「あの時の仙台は本当に楽しかった」

 予算規模でJ1最低クラスのチームが効率よく補強を進めるうえで、渡辺が目指した“スタイルの確立”は不可欠だった。どういう選手を補強するかというフロントの仕事のしやすさはもちろん、オファーを受けた選手自身のイメージのしやすさにもつながる。4年連続で監督が交代したチーム、毎年戦い方が変わるチームでは、選手もなかなか集まらない。

 渡辺仙台で主力として活躍したある選手は、「あの時の仙台は本当に楽しかった」と目を細めた。しかし、その後の仙台について口を開いてはくれなかった。

 J2でどのような戦い方をしたいのか、そして、J1に上がったときにどのようにふるまいたいのか。仙台は、岐路に立たされている。

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