今季のJ1は川崎フロンターレが連覇したが、新たな変化の胎動がある。屈指の人気を誇る浦和レッズである。
人気のみならず、実力ある選手もそろっている。さらに、新たな流れを持ち込みそうなリカルド・ロドリゲス監督もやってきた。
浦和に、川崎の3連覇を阻む「器」はあるのか。サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■デザインされていたFK
しっかり守った浦和はカウンターを発動した。
前半18分の先制ゴールは、左サイドで相手のパスをカットした大久保智明がタッチライン沿いでドリブルを仕掛け、江坂と浮き球のワンツーを交わしてそのまま攻め上がり、チアゴ・マルティンスのファウルを誘って獲得したFKからのもの。江坂のFKを大外にいた伊藤敦樹が決めた。
江坂が蹴った強くて低い弾道のボールが伊藤のところまで抜けてきたのは偶然のようにも見えたが、映像で確認してみると西大伍とアレクサンダー・ショルツがしっかりと江坂からの強いボールに合わせてコースを変えているのだ。
つまり、このFKからの先制ゴールはしっかりとデザインされたプレーだったのだ。
また、後半開始早々の48分に決めた2点目のカウンターも伊藤の自陣からのドリブルから始まり、1点目と同じようにタッチライン沿いに開いた江坂を使って、さらに伊藤は江坂からのリターンをスルー。そして、江坂からのボールを受けた関根が縦に流し込んだボールに伊藤が走り込み、GKの前でボールに触ってコースを変え、逆サイドから走り込んできた田中達也が押し込んだものだ。
今年のJリーグで決まったカウンター系のゴールの中でも最も美しいゴールの一つだったのではないだろうか。