■川崎との3つの引き分けの中で見えたもの
さて、振り返ってみれば、浦和が川崎と引き分けた3試合も、やはり堅守速攻のカウンター・サッカーとセットプレーを生かした試合だった。
9月1日のルヴァンカップ準々決勝ファーストレグ(浦和ホーム)は1対1の引き分け。シュート数は浦和が6本、川崎が5本というロースコアゲームだった。当時の川崎は三笘薫と田中碧が海外移籍でチームを離れた直後で、しかもDFの要の谷口彰悟が負傷で離脱。さらに前半のうちにもう1人のCBのジェジエウも負傷して交代。ゲームの終盤には車屋紳太郎までもが負傷交代。不動の右SB、山根視来は代表に招集されていて不在という悪条件が重なったゲームだった。
その4日後のセカンドレグでは、やはり谷口、ジェジエウ、車屋が不在(ジェジエウは後半から出場)という川崎だったが、ファーストレグの後半から右SBとして起用された橘田健人が山根の穴を埋めるなどして、なんとか態勢を立て替えてきた。
そして、川崎は試合内容では浦和を圧倒してみせた。主力選手が欠けてもしっかりと代役が機能する川崎というチームの強さを見せつけたゲームだった。
この試合のシュート数は浦和の5本に対して川崎が11本。8分にDFの岩波拓也からのロングボールを受けた江坂がうまくドリブルで抜け出して先制したものの、前半のうちに同点とされ、さらに77分、83分とCKから決められ、浦和にとっては万事休すかと思われた。
だが、87分には右からのクロスを川崎のGK鄭成龍が弾き、角度のないところからキャスパー・ユンカーが決め、さらに90+4分には江坂の左CKからの混戦の中で、FWとして交代出場していた槙野智章が決めて追いつき、アウェーゴールの差で浦和の準決勝進出が決まったのだ。