■2位浮上の最大の立役者は伊東

 最終予選開幕時の「相手から読まれやすいチーム」から脱却し、日本は「試合前から相手を悩ませるチーム」となった。4-2-3-1と4-3-3に加え、オマーンの後半に採用した流動性の高いシステムもある。さらに言えば、交代選手の選択肢も増えてきた。10月、11月はケガで欠場した久保建英、ポルティモネンセで復活へのゴールを決めた中島翔哉らも、1月末の段階では招集可能なコンディションになっているだろう。選択肢は豊富だ。

 そのなかでも、取り替えが効かないのは伊東だ。オマーン戦では得意のドリブル突破を厳重に警戒されたが、ベトナム戦に続いて決勝ゴールをマークした。

 ディフェンス面での貢献も高い。素早いプレスバックや前線からのチェイスは、システムを問わずにチームに欠かせないものとなっている。彼こそは、2位浮上の最大の立役者だろう。

 残り4試合の課題としてあげたいのはセットプレーだ。

 11月の2試合でも、CKとFKからの得点はなかった。ベトナム戦で田中碧が、オマーン戦では柴崎と伊東純也がキッカーを任されたが、得点に結びついていない。トレーニングに限りがあるため、リスタートにばかり時間を割けないのが実状だが、それにしても得点パターンとして計算できないのは歯がゆい。拮抗した試合を動かす手段として有効なだけに、セットプレーのパターンを持ちたい。

 18年のロシアW杯最終予選では、原口元気が前半戦に4試合連続ゴールをあげ、久保裕也、浅野拓磨井手口陽介の16年リオ五輪代表が決定的な仕事をした。

 今回の前半戦は、伊東が牽引した。主力と見なされる選手がきっちり仕事を果たしつつ、新たなタレントが台頭してくることで、最終予選突破の可能性は高まる。

  1. 1
  2. 2
  3. 3