大学サッカーは、ヨーロッパにはない選手の育成機関と言える。その大事な場所は、どう進歩していくべきなのか。大学サッカーについて考える。
■勝点1差の頂上決戦
関東大学サッカーリーグで流通経済大学(流経大)が12年ぶり4度目の優勝を遂げた。
一昨年、流経大は1部11位という成績で2部降格を経験。昨年は、チョウ貴裁コーチ(現、京都サンガF.C.監督)の指導を受けてアグレッシブなサッカーを展開して優勝し、1シーズンで1部復帰を果たした。その流経大が、1部昇格初年度の2021年シーズンで優勝を遂げたのだ。
11月13日の土曜日に千葉県成田市の中台陸上競技場で行われた関東大学リーグ“最終戦”で流経大は明治大学と対戦した。明大は21試合終了時点で勝点39で首位に立ち、流経大は同38の2位。「勝った方が優勝」という直接対決だった。
予想通り、両チームとも慎重な入り方で、いわゆる「決勝戦のような」試合だった。
そして、立ち上がりこそ流経大が押し込んだものの、次第に明大の守備組織が整うと、最終ラインを高い位置まで上げて流経大の攻撃を封じ込めることに成功。そして、前半42分、明大は杉浦文哉(来年は水戸ホーリーホックへの入団が内定)からのスルーパスを受けた藤原悠汰が抜け出して先制ゴールを決める。藤原は、トップ下でテクニックを見せて、前半の明大の攻撃をリードしていた選手だった。
しかし、後半に入ると流経大は前線の選手がダイアゴナルなランニングを仕掛けることで明大の守備の網から抜け出し、そこにミドルレンジのパスを送り込むことで攻撃を活性化させた。そして、早くも48分には右CKからの跳ね返りを佐藤響(サガン鳥栖に内定)が強烈なシュートを右上隅に叩き込んで同点に追いついた。