■引き分けが許されなかった理由
1対1の同点……。普通の状況であれば、「このままいけば明大の優勝」となるわけで、明大がゲームを閉じにかかるところだ。
ところが、この「決勝戦」は実は引き分けが許されない試合だったのだ。
状況はこうだ。
“最終戦”を前に、冒頭にも述べたように明大が11勝6分4敗で勝点39の首位。流経大が11勝5分5敗で勝点38の2位だったのだが、さらに駒澤大学が11勝4分6敗の勝点37の3位に付けていた。
そして、明大対流経大の“事実上の決勝戦”の前の第1試合で駒大は筑波大学(5位)と対戦していた。
駒大は、徹底してロングロールを筑波大ゴール前に蹴り込む「いかにも駒大」といったサッカーで攻め込んではいたものの、なかなか良い形でシュートを撃つ形が作れず、そのままスコアレスドローに終わるかと思われた。引き分けで終われば、当然、優勝は明大と流経大に絞られる。だが、駒大は83分に右からのクロスを土信田悠生(ロアッソ熊本に内定)が足で引っ掛けてゴールを決め、これが決勝点となって1対0で勝利した。
これで、駒大は勝点を40に伸ばしていた。もし、明大と流経大が引き分けに終わったとすると、明大と駒大がともに勝点40で並ぶが、駒大の得失点差は筑波大戦の勝利によって+9となっており、明大の得失点差は+8のままなので駒大に優勝が転がり込むことになるのだ。