■ファンの期待と現実の「齟齬」

 また、バルセロナを語る上で必ず出てくる問題がある。「ポゼッション」と「4-3-3」の議論である。

 ポゼッション、つまりボール保持は、このクラブの根幹にあるフィロソフィーだ。ヨハン・クライフが提唱したフットボールは、ジョゼップ・グアルディオラ監督が率いたチームで、完成の域に達した。パスサッカーを意味する「チキ・タカ」という言葉が流行したのもその頃だ。

 そして、もうひとつ。「4-3-3」の問題だ。バルセロナのトップチームで監督を務める人物には、このシステムの選択が暗に求められる。バルセロナでは、カンテラ(育成組織)に属している時から、4-3-3でのプレーが選手たちに叩き込まれる。とりわけ、グアルディオラ政権時ではそれが徹底されていた。

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