【ラ・リーガ考察】「クーマンが失敗した理由」とバルセロナを苦しめる「ポゼッション」と「4‐3‐3」の呪縛【「生え抜きの天才」率いる“シャビ・バルサ”を徹底予想】(2)の画像
左ウィングで起用されるファティ。シャビの下でさらに力を伸ばせるか 写真:AFP/アフロ

 バルセロナにとって、2シーズンぶりの緊急事態となった。シーズン途中に監督交代の荒療治を施したのだ。
 呼び寄せられたのは、懐かしい名前だ。シャビ・エルナンデスが、再びブラウ・グラナの一員として戦う。
 生え抜きの帰還に、バルセロニスタの期待は高い。
 だが、本当にバルサは復活するのか? “シャビ・バルサ”の未来を考察する。

■クーマン失敗の理由

 ロナルド・クーマンの失敗は、選手配置の誤りにあった。端的に言えば、クーマンは適材適所のプレーヤー配置が下手な監督だった。

 具体例を挙げるため、クーマン・バルサの左サイドにフォーカスする。3トップの中央のメンフィス・デパイ、左ウィングのアンス・ファティ、左インサイドハーフのガビ、左サイドバックのジョルディ・アルバ。いずれも左サイド/左のハーフスペースをプレーエリアとする選手だ。

 これでは、左のスペースでノッキングが起こるのは必然である。また、3選手から4選手が左サイドに寄って、逆に中央と右サイドが手薄になるという現象が頻繁に起きていた。こうなると、たとえ左サイドを崩したとしても、ゴール前に人数がそろっていないという状況に陥る。

 クーマンが解任される前の数試合で、たびたびセルジーニョ・デストが決定機を逸して叩かれていた。しかし、デストの本職は右サイドバックである。その選手に決定機を迎えさせるという攻撃パターン自体が、正しいのかどうか。そういった検証が、クーマン・バルサではなされていなかったように見えた。

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