■開幕前に逃した立て直しのチャンス

 今シーズン開幕を前にして、プランを大幅に修正する可能性はあった。この夏の時点で、ラポルタは監督交代を検討していたのだ。

 ただし、メッシの退団で一気に表面化したように、財政的な問題で違約金を伴う監督交代はかなわず、クーマンの続投が決まった。クーマンがオランダ代表で指導していたメンフィス・デパイらを獲得したものの事態が好転することはなく、メッシのいなくなったチームの弱体化は避けられなかった。バイエルン・ミュンヘン戦(0-3)、アトレティコ・マドリード戦(0-2)、レアル・マドリード戦(1-2)とビッグマッチで、バルサの凋落は顕著に現れた。

 クーマンが率いるバルセロナの苦しみは続いた。ビッグマッチで勝てないだけではなく、リーガエスパニョーラでも、チャンピオンズリーグ出場権獲得圏内に入ることが難しくなっていた。エースが抜けたとは言え、なぜクーマンは勝てなかったのか。問題はそこだ。

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