■時期尚早と考えられていた「シャビ監督」
少し時を遡る。2020年10月にジョゼップ・マリア・バルトメウ前会長が辞任して、バルセロナでは会長選が行われる運びとなった。
その会長選に、ビクトル・フォントという人物が立候補していた。シャビを監督として呼ぼうとしていたのは、このフォントだった。
一方のラポルタは、選挙の時期にこう語っている。
「私とシャビは頻繁に連絡を取り合っている。他の候補者との関係が伝えられているけれどね。しかし、シャビは現在の私のプランには入っていない。短期間・中期間・長期間のいずれかでバルサの監督になる可能性はあるがね」
そう、会長としての第2次政権を狙うにあたり、ラポルタが監督として狙いを定めていたのは、シャビではなかったのである。
当時のラポルタはロナルド・クーマンの続投を支持していた。シャビではなく、クーマンの続投に賭けた理由を、ラポルタはこう語っていた。
「シャビには、もう少し(監督としての)キャリアと経験が必要だ。それは我々がライカールトの時に実践したことだ。ライカールトが基礎を築いて、それをグアルディオラが最高水準まで引き上げた」
クーマンに基礎を築いてもらい、ゆくゆくはシャビにシフトする。そんな狙いがあったのだろう。その青写真は、描いている途中で破たんした。