名古屋グランパスが、ルヴァンカップ初優勝を果たした。セレッソ大阪との決勝をものにして、これで国内3大タイトルをすべて手に入れたことになる。
名古屋は本当に日本トップとなれるのだろうか。サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■問題は「守備的な戦い方」にあらず
ルヴァンカップ決勝という舞台で(相手は、直近の試合で完敗したばかりのセレッソ大阪)、名古屋グランパスの選手たちが自分たちのストロングポイントである守備を強く意識して戦ったのは当然のことだった。
問題は、名古屋の戦いぶりが守備的だったことではない。真の問題は、守備意識を高めて戦ったにも関わらず、決勝戦の前半はしっかり守りきれていなかったことにある。
前半の立ち上がりは、名古屋の積極性が目だった。ワントップに入った前田直輝は前線で左右のスペースに流れてMFからのパスを引き出し、右サイドではマテウスが何度かドリブル突破を試み、11分にはマテウスのクロスに対して柿谷曜一朗がオーバーヘッド・シュートを試みた。
だが、それも10分過ぎ(つまり、柿谷のシュートの場面)までだった。
18分にC大阪がGKからのロングキックを奥埜博亮が受けて、最後は乾貴士がシュートを放ったチャンスがあったが、それ以降はC大阪の攻撃が続いた。
その多くが最終ラインの瀬古歩夢などからのロングフィードや大きなサイドチェンジなど、ロングボールを使ったシンプルな攻撃だった。
そして、このC大阪のサイドチェンジに対して、名古屋の守備陣はうまく対処できなかった。
パスの出所に対してプレスをかけることもできなかったし、サイドチェンジに対して効率的にスライドすることもできず、ゴール前までボールを運ばれることが多かったのだ。最後のゴール前で中谷進之介と金眠泰(キム・ミンテ)が体を張り、バイタルエリアをボランチの稲垣祥と木本恭生が埋めて、なんとか跳ね返し続けた。
ゴール前の守備の頑張りは、たしかに気持ちの入ったものではあったが、無失点で切り抜けられたのはC大阪のシュート技術が足りなかったからでもあった。最後の、フィニッシュの段階でC大阪はテクニカルなミスを犯し続けた。
前半、名古屋が無失点で凌げたのは幸運でもあったのだ。