■地域に育てられるのがJクラブ

 初年度に爆発的だったJリーグへの熱狂は数年で冷め、1996年には明らかな「人気下降」の兆候が見られた。川淵チェアマンが「理念の具現化」を口に出し始めたのは、そうしたときだった。当初の熱狂が去ったいまこそ、それぞれのクラブは「地域と密接に結びつく」というJリーグの基本に立ち戻らなければならない―。多くのクラブがこの課題に真剣に取り組むようになる。その活動に「ホームタウン」というキーワードが大きな役割を果たした。

 10月17日の村井チェアマン名のプレスリリースでは、「地域密着」という言葉が使われている。Jリーグやクラブの人びとからも、よくこの言葉がもれる。しかし「密着」という表現は、本来雲の上の存在であるプロスポーツがこの町に降臨して寄り添って「やっている」という響きがある。だから私は「地域立脚」と書く。地域に根を張り、地域の人びとの愛情や献身によって水や肥料をもらって育ててもらうのがJリーグのクラブというものだからだ。

 そしてまた、地域の人びとが「与えられた娯楽」としてではなく、「自分たちが育てていかなければ枯死してしまう」ものとしてJリーグのクラブをとらえられるようになることで、初めてJリーグのクラブは存続が保証される。

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