■中心にあるのは「スタジアム」
プロのクラブの事業は、サッカーの試合をして収益を得ることだが、Jリーグをスタートする(日本サッカーをプロ化する)にあたり、当初最も大きな課題となったのは、「ホームスタジアム」の確保だった。当時、プロのサッカーの興業にたえるスタジアムの大半は、都道府県や市などの自治体が所有していた。まずその自治体や自治体と関係するサッカー協会と交渉し、スタジアムを優先的に使用できるようにすることが求められた。そしてその話がまとまったとき、そのスタジアムの所在地が「ホームタウン」とされた。すなわち、「ホームタウン」とは、第一義に「ホームスタジアムのある地域」ということになる。
しかし同時に、プロサッカークラブの事業がスタジアムにファンを集めることで成り立つ以上、「ホームタウン」での活動を保護する必要がある。たとえスタジアムが別であっても、ホームタウン内で他のクラブが自由に事業を展開するようでは、事業に支障が出るからだ。
こうした考えは、都市と都市の対抗戦という形で始まった「欧州型」のプロスポーツであるサッカーでは、従来あまり課題にはならなかった。しかし事業優先で展開されているアメリカのプロスポーツでは、非常に重要で根源的な考え方になっている。アメリカではそれを「フランチャイズ」と表現してきた。