センセーショナルな見出しが、Jリーグファンを揺さぶった。「ホームタウン制度の撤廃」。このニュースは即時にJリーグによって否定されたが、時代に即した変化が必要であることは確かなようだ。では、Jリーグとクラブにとって「ホームタウン」とは何なのか。サッカージャーナリスト・大住良之が、改めてその核心を掘り起こす。
■驚きのニュース
「Jリーグ、来季ホームタウン制度撤廃へ」
こんなニュースが流れたのは、10月17日のことだった。前日にわかったところによれば、「早ければ今月中にも地域密着の基本理念撤廃が決まる」「クラブにネーミングライツを認めることも検討中」(いずれも『スポーツ・ニッポン』)という。
これは大変だと思っていたら、その日の午前中にJリーグから下記のようなプレスリリースが出た。
「一部報道機関において、Jリーグがホームタウン制度を撤廃するとの表現を用いた報道がありました。
JリーグではJクラブの本拠地を『ホームタウン』と呼び、Jクラブはホームタウンと定めた地域で、その地域社会と一体となったクラブづくりを行いながらサッカーの普及、振興に努めなければならないと定めています。
このホームタウン制度について撤廃・変更の事実は一切なく、今後、Jクラブの営業、プロモーション、イベント等のマーケティング活動における活動エリアに関する考え方の方向性について議論しているものです。Jリーグが創設当初から掲げている地域密着の思想が揺らぐものでは全くありません。
公益社団法人 日本プロサッカーリーグ チェアマン
村井 満」
そして翌日、Jリーグは記者会見を開き、「ホームタウンについての基本的な考え方については堅持する。ただしサッカー教室やPRイベントなどの事業活動については、他クラブのホームタウン内でも開催可能であることを明確化した」という内容を発表した。