「オフサイドルール、1世紀ぶりの革命」アーセン・ベンゲルの提言(2)「100年前にもたらされた『ゴール数4割増』と『戦術的発展』」の画像
抜群の動き出しを見せる小林悠のような選手は、オフサイドルールの変更にどう影響されるか? 撮影:中地拓也

 サッカーの世界が大きく変化するかもしれない。名古屋グランパスやアーセナルを率いたアーセン・ベンゲルが、オフサイドルールの変更を提案したのだ。解釈の違いを利用した、この「ベンゲル・ルール」は、果たして正しいものなのか。サッカー取材歴50年以上のベテランジャーナリスト・大住良之が検証する。

 1863年にサッカーのルールが書かれたときには、ボールより前にいる選手は全員オフサイドだった。ただし当時のルールでは「オフサイド」という表現は用いられず、「アウトオブプレー」、すなわち「プレーから除外」とされていた。

 しかし3年後の1866年に初めてルール改正が行われたとき、「アウトオブプレー」になるのは、ボールの前にいるだけでなく、自分と相手ゴールの間に少なくとも3人以上の相手選手がいない場合となった。これが「3人制オフサイド」で、1925年まで60年間近くにわたって続くことになる。オフサイドポジションにいなければ後ろからのパスを受けられるようになり、パスサッカーが発展していく。

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