■手元に1枚も土産のポスターがない理由

 このポスターには、試合を開催するすべての都市名が入れられている。1930年のウルグアイ大会のポスターにも「MONTEVIDEO」の文字がはいっているが、この大会ではすべての試合が首都モンテビデオの市内で行われた。ワールドカップは第2回大会から複数都市での開催となったが、その全都市名がすべてポスターに記載されたのは、これが初めてのことだった。

 ちなみに、私が初めてワールドカップを取材したのがこの大会だった。当然、このポスター(縦1メートルほどの大判のものだった)を1枚購入し、帰国してから木製のパネルに加工してもらって自宅の部屋に飾ってあったのだが、しばらくしてやってきた高校時代のサッカー部の友人が「いいな~」と見とれているのを見て、あげてしまった。

 私としては、現地でヨハン・クライフのスーパープレーなどを堪能したのだから、その感動の一部だけでも、行けなかった人と分かち合いたいという思いだった。以後、ワールドカップに行くたびにポスターを買い求めてくるのだが、毎回同じようにしてしまい、いま、手元には1枚もない。

(3)へ続く
PHOTO GALLERY ■【画像】ゴールを決められ悲しそうな顔をするGKが印象的な54年スイス大会や、初めてマスコットが登場した66年イングランド大会などのポスター
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