■メキシコで初登場したおなじみのボール

 1970年メキシコ大会のポスターは非常に斬新だ。濃いピンク地に黒でボールを描き、その下部に「MEXICO 70」の文字。ボールはこの大会で初めて大会正式球となったアディダス社の32枚貼りの白黒ボール「テルスター」を表している。正六角形と正五角形を組み合わせたボールの時代の始まりである。また大会ロゴの3本線の文字のフォント(書体)は、2年前に開催されたメキシコ・オリンピックと同じ。メキシコでは、「ワールドカップのリハーサルとしてオリンピックを開催した」と言われていたが、そのとおりだったのかもしれない。

 1974年西ドイツ大会は、前回のメキシコ大会でブラジルが3回目の優勝を飾ったため、「ジュール・リメ杯」を永久に保持できることになり、代わりに「FIFAワールドカップ」が登場した大会である。そのポスターは、黒を背景にボールをけっているカラフルな選手が全面に描かれている。ワールドカップのポスターには1966年のウィリーくんを含めてボールをけっている図がいくつかあるが、この絵が最も力強く、また美しい。デザイナーはホルスト・シェーファーである。

PHOTO GALLERY ■【画像】ゴールを決められ悲しそうな顔をするGKが印象的な54年スイス大会や、初めてマスコットが登場した66年イングランド大会などのポスター
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