■奥ゆかしさを感じさせたチリ大会

 17歳のペレの活躍でブラジルが初優勝を飾った1958年の第6回スウェーデン大会。そのポスターは少し物議を醸し出した。シルエットの選手がボールをけり上げ、そのボールが出場国の国旗をあしらったスカーフに包まれているという構図なのだが、「盗作疑惑」がもたれたのだ。「これをパクったのでは?」と疑われたのは、この年の5月に封切られ、世界中で大ヒットになったアルフレッド・ヒッチコック監督の名作『めまい』のポスター。似ているといえば似ている。

 1950年代まではすべてイラストを主体としたポスターだったが、1960年代以後はデザイン性が高くなる。1962年チリ大会のポスターは、300以上の応募作のなかかからガバリノ・ポンセがデザインしたものが選ばれた。非常にシンプルで完成度が高い。青地に地球とボールが重なった構図。開催国チリが南米大陸の西に張り付くように細長く広がっている様子が赤で示されているが、目立つわけではなく、この国の奥ゆかしい国民性を感じさせる。

 サッカーが「母国」に戻った1966年イングランド大会のポスターもシンブルだ。世界的なスポーツの大会で史上初めて登場した「大会マスコット」、ライオンのウィリーくんがボールをけっている図。黒く太い文字で描かれた「WORLD CUP」が力強い。このポスターは、イングランドのサッカーファンの「最も幸福な年」の思い出とともに、半世紀以上経た今日もまだ高い人気を保っている。

PHOTO GALLERY ■【画像】ゴールを決められ悲しそうな顔をするGKが印象的な54年スイス大会や、初めてマスコットが登場した66年イングランド大会などのポスター
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