■移籍市場が閉まり、安定した選手たちのメンタル
また、9月はヨーロッパの新シーズンが開幕したばかりで試合から遠ざかっていた選手もいたが、開幕から約1か月が経過して選手のコンディションも上向いているはずだ。さらに、各国の移籍期間が8月までオープンになっていたため直前まで移籍問題に揺れていた選手もいた。移籍の可能性が高い選手は出場機会を失ってしまうし、移籍問題を抱える選手たちはメンタル的に代表の活動に集中できなくなってしまう。
最も大きな影響を受けたのが冨安健洋だった。昨イーズンはイタリアのボローニャで活躍した冨安は移籍期間の終了間際まで去就が決まらず、最終的にアーセナル入りが決まったのは移籍期間ぎりぎりの8月31日だった。その移籍手続きのために冨安はオマーン戦には参加できず、中国戦が行われたカタールのドーハで合流することになった。
アーセナルに入団して以来の冨安のブレークぶりについては、改めて紹介する必要もないだろう。
8月31日に移籍を決めた冨安はそのまま日本代表に合流。中国戦に勝利するとすぐにロンドンに戻って、たった1日のトレーニングを行っただけでノリッジ・シティ戦に先発する。アーセナルは守備に不安を抱えて開幕から3連敗を喫していたが、冨安が合流したノリッジ戦からは4試合を戦って3勝1分。直近(10月2日)のブライトン戦は引き分けに終わったものの、4試合のうち3試合でクリーンシートを達成。また、9月26日に行われたトッテナムとの「ノースロンドン・ダービー」にも3対1で完勝し、冨安も高い評価を受けることとなった。
トッテナムがアーセナル陣内でパスをつなごうとするのをアーセナル守備陣が封じ込め、奪ったボールをつないで鮮やかな速攻で前半のうちに3点を奪ってしまうという、まさに快勝だったのだ。