■対照的だった浦和を率いた2人の監督
2012年から2017年にかけて浦和レッズを率いたミハイロ・ペトロヴィッチ監督は、CKをはじめとしたリスタートの練習を一切しなかったという。彼の練習時間の大半は、彼の頭脳から次々と生み出されるコンビネーション攻撃のアイデアをどう選手たちに伝え、習得させるかに費やされたからだ。
2018年に彼の仕事を引き継いだオズワルド・オリヴェイラ監督は対照的だった。彼は試合の2日前には練習の1時間をCKやFKの守備に費やし、試合前日には、再び1時間をその攻撃の練習で使った。その結果、リスタートからの得点での勝利が増え、浦和はCKからの得点で天皇杯を獲得した。もちろん、試合自体は、ペトロヴィッチ監督が率いた当時のエキサイティングなプレーの連続どころではなく、堅固な守備組織をベースにしたものとなったが…。
たかがリスタート、されどリスタート。リスタートをおろそかにする者はリスタートに泣く。もしオリヴェイラ監督のように時間はかけなくてもリスタートの攻守を改善できるなら、真剣に取り組む価値のあることに違いない。
そんなことを考えていたとき、このコラムで何回か紹介したプロコーチの片山博義さん(現在は千葉県リーグ1部房総ローヴァーズ木更津FC監督)から「面白いコーチがいる」という話を聞いた。「当たり前のことばかりなんだけど、非常に細かな決めごとがあって、彼の指導を受けたらリスタートが確実に良くなり、チームが劇的に変わった」という。さっそく、CKをテーマに話を聞いた。