田中碧とオナイウ阿道は使われるのか?オマーンに完封された「4-2-3-1」“一択”とサウジアラビアの「スキ」…垂れ込める「暗雲」【サッカー日本代表10月決戦】(2)の画像
田中碧   写真/中地拓也
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■4-2-3-1だけで勝てるのか?

 10月7日に行なわれるアウェイでのサウジアラビア戦、そして12日のホーム・埼玉スタジアムでのオーストラリア戦を戦うサッカー日本代表のメンバー25人、2列目のチョイスには、浅野拓磨三好康児も加わった。

 浅野は8月下旬からケガで戦列を離れていたが、9月26日のリーグ戦で4試合ぶりに出場した。彼をサイドに置けば、スピードを生かせる。三好は途中出場のカードか。

 前線には大迫勇也に加えて、オナイウ阿道が招集された。

 9月の2試合はFWが大迫と古橋だけで、大迫はパフォーマンスや戦略に関わらずフル出場することが決まっていたようなものだった。そして、オマーン戦では彼と鎌田を厳重に包囲され、攻撃に変化を加えられずに敗れることとなった。

 4-2-3-1以外のオプションは欲しいが、集合してすぐに試合というスケジュールでは物理的な時間が足りない。サウジとオーストラリアは、中途半端なオプションが通用する相手でもない。それならば、日本代表での役割の確認と徹底に時間を割くべきだ。

 基本システムの4-2-3-1で戦う以上は、大迫以外にもFWを用意しておかなければならない。所属するトゥールーズで絶好調のオナイウを招集するのは、攻撃の幅を持つために必要だった。最低限の備え、とも言えるが。

 システムとメンバーが固定化されている日本は、対戦相手からすればスカウティングしやすい。その意味でも、相手の目先を変えるオプションが欲しいのだが、サウジがオマーンのような戦略を取ってくるとは考えにくい。

 通算成績では日本が勝ち越しているものの、近年はクロスゲームが続いている。最新の対戦となった19年1月のアジアカップでは、冨安のヘディングシュートを守り切る展開で1対0の勝利を収めた。サウジからすれば「内容では負けていなかった」と思える試合だっただろう。

 18年ロシアW杯でモロッコを率いたエルヴェ・ルナールの指揮下にある現在も、ホームゲームで守備を固めてくるとは考えにくい。そこに、付け入るスキがあるかもしれない。

 日本の守備は盤石だ。酒井宏樹はコンディションを取り戻し、吉田麻也サンプドリアで存在感を示している。冨安健洋は新天地アーセナルで、デビューから先発出場を続けている。右サイドバックで起用されているが、クラブと代表とポジションが変わるのはボローニャ在籍時も経験済みだ。マイナスのイメージはない。

 9月の2試合は無所属だった長友佑都は、古巣のFC東京に復帰した。試合勘とゲーム体力への不安が解消されれば、彼の経験が際立つ。

 ダブルボランチには、田中碧が招集された。東京五輪に出場した23歳は、ブンデスリーガ2部のデュッセルドルフで成長速度を上げているが、ダブルボランチは遠藤航柴崎岳守田英正が競う“新たな最激戦区”だ。負けられない10月シリーズでの先発起用は考えにくい。最終ラインと遠藤のユニットは不動で、遠藤のパートナーを柴崎と守田のどちらにするか、というチョイスになるだろう。

 計算できる守備陣がサウジの攻撃をしのぎ、ワンチャンスを生かして先行する。追いかけるサウジが前がかりになった背後を突き、追加点をあげて勝利をつかむ──それこそが、勝利へのシナリオだ。

 いずれにせよ、スタメン選定の判断基準は、今週末のリーグ戦のパフォーマンスに代表合流後の動きを加味したものになる。上り調子で集合してくる選手が、ひとりでも多いことが望まれる。

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