■「順位は自分たちを後押しするものではない」とチョウ監督

 後半も山形が攻め、京都がしのぐという構図で進み、60分に、京都MF三沢直人が左足ミドルを突き刺す。DFに当たってコースが変わり、GKの逆を突く幸運にも恵まれたが、シュートへ至るまでの流れは練習どおりだったはずだ。ワンタッチプレーの連続で、右サイドの密集を崩している。

 相手のストロングも封じた。山形は右の中原輝、左の樺山諒乃介のドリブル突破を武器としているが、左サイドバックの荻原拓也と右の飯田は決定的な突破を許さず、5試合ぶりのクリーンシートにつなげたのだった。

 試合後のチョウ監督は「今日のゲームを観た人には、お互いの良さが出たいいゲームだと感じてもらえたのでは」と切り出した。磐田が引分けたことで27節以来の首位に立ったが、指揮官は表情を変えることもなく語った。

「自分たちが次の試合に向けて、プロとしてしっかり準備をするだけです。(首位に立ったことが)自分たちを後押しするものではないし、謙虚に自分たちのサッカーを突き詰めることにフォーカスしてやっていきたい」

 30節終了時点での勝点64は、これまでの昇格チームに比べてどれぐらいのペースなのか。昨年の徳島(59)、19年の柏(62)、18年の町田(56)、17年の湘南(63)を上回っている。京都としては11年ぶり、チョウ監督自身は4度目のJ1昇格へ向けて視界は良好と言えるが、52歳の指揮官は「残り12試合、目の前の1試合1試合で勝点3を取れるように準備をしていくだけです」と、これまでと変わらないスタンスで次節へ向かっていく。結果に一喜一憂しないチョウ監督の姿勢が、京都の強さを支えている。

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