■最終予選に簡単な試合はないが…
4分のアディショナルタイムを経て、日本は1対0のまま逃げ切った。ハラハラドキドキの逃走劇だった。
この日行なわれた残り2試合では、オーストラリアがベトナムを、サウジアラビアがオマーンを退けている。スコアは中国対日本と同じ1対0だ。最終予選に簡単な試合はない、ということなのだろう。
だからこそ、勝ってなお厳しい視線を向けざるを得ない。
10月の2連戦はサウジアラビアとのアウェイゲームと、オーストラリアとのホームゲームだ。2連勝で勝点6を得た両国との差を縮めるためにも、直接対決で叩かなければならない。
中国戦では久保建英が攻撃を牽引した。前半の決定的なシュートはゴールに結びつかなかったが、相手守備陣にもっともストレスを与えていた。ゲームの最終盤に巧みなボールキープとチャンスクリエイトで輝きを放ったこの20歳は、攻撃陣で誰よりも頼りになる存在だった。
オマーン戦同様に2列目の左サイドで起用された古橋も、動きの幅を広げることで特徴を出すことができていた。10月のサウジアラビア戦は伊東を累積警告で欠くことになるが、久保の右サイド起用には目処が立っている。久保が務めたトップ下は、ケガからの回復を前提で南野拓実か。
気になるのは前線だ。オマーン戦、中国戦ともに大迫が1トップでフル出場したが、戦術的にも人選的にもオプションは欲しい。現状では選手交代による変化が頼りで、スカウティングされると打開策を見出せないことは、オマーン戦で露呈された。
オマーンや中国のような集中的なトレーニングは、海外組の多い日本には不可能だ。短い準備期間で戦っていかなければならず、それゆえに使い慣れたシステムが用いられるのだが、準備不足でも古橋亨梧と大迫勇也の2トップ、大迫とオナイウ阿道の2トップなどを考えていかなければ、いよいよ攻撃が手詰まりになってしまう。
中国戦は絶対に勝たなければいけない試合だったが、オマーンを退けて白星スタートを切っていたとしても、最終予選突破のためには絶対に勝たなければいけない試合だった。勝点3に安堵している立場ではなく、有効なオプションを持ていない現状に危機感を覚えるのだ。