■前半の中国は驚くほど控え目だった
冷静に考えれば、勝って当然の試合である。日本時間9月7日深夜に行なわれた最終予選第2節の中国戦。
中国は2次予選のグループ首位チームではなく、成績上位の2位チームで最終予選に進出してきた立場だ。ブラジルとイングランド出身の帰化選手が加わっているが、オーストラリアとの初戦では力の差を見せつけられて0対3で敗れた。このグループは日本、オーストラリア、サウジアラビアの争いで、中国は勝たなければいけない相手なのだ。
前半は危なげない展開だった。
オマーン戦との大きな変化は、コンディションとメンタリティだっただろう。大阪からカタールへ移動して中4日で迎えた一戦だったが、日本の選手に疲労は感じられず、むしろ序盤から動きにキレがあった。「もう1敗もできない」という状況が、一人ひとりの選手の闘争心に火をつけたのだ。
前向きなメンタリティは、プレーにも映し出されていく。オマーン戦では最終予選の開幕節という状況が慎重さを生み、相手の守備ブロックを崩す動きを欠いた。仕掛けることを遠慮するようなメンタリティが透けて見えた。
しかし中国戦の前半は、相手ゴールへ向かっていく姿勢が鮮明に打ち出されていた。攻撃の迫力が明らかに違った。ボール際でもはっきりと優位に立った。
中国は4バックをベースとするチームだが、この試合は5-3-2のブロックを敷いてきた。守備重視の戦略だったのだろうが、それにしてはボールへの圧力が驚くほど控え目なのである。日本はブロックの間でパスを出し入れすることができ、ブロックの外側で受けた選手が侵入することもできていた。
15分前後からは、得点につながる形を作れるようになってきた。いい時間帯になっている。ここで先制したいのだが、22分の久保建英の右足シュートは左ポストに嫌われてしまう。37分にも久保の左足シュートが相手GKを強襲する。このまま0対0で終わりたくない、終わってはいけない流れのなかで、40分に先制することができた。伊東純也が右サイドをドリブルでぶち抜き、ゴール前の大迫勇也が右足ボレーでプッシュした。