■“FW槙野智章”が奇跡を起こす
その槙野の投入から2分後、浦和が左CKを得る。残り時間を見れば、浦和にとってはほとんどラストチャンスと言っても過言ではない場面。GK鈴木彩艶も前線へ上がり、浦和はパワープレーで命運を託した。
キッカーの江坂任がクロスを送ると、一旦、槙野が落とし、右サイドのアレクサンダー・ショルツがゴール前へと折り返す。キャスパー・ユンカーが頭で合わせると、ここは相手GKのチョンソンリョンにはじかれるが、ゴール前に詰めていた槙野が押し込み、土壇場で浦和が同点に追いついた。
ゴールが決まると、槙野は喜びを爆発させながら、一目散に走り出した。ピッチにいた他の選手たちも続く。リカルド監督はガッツポーズでベンチから飛び出し、浦和のスタッフや選手たちも興奮気味に槙野を迎えた。浦和のベンチ前は槙野を中心に熱い抱擁が交わされ、ひとつの大きな輪ができていた。
この結果、2戦をとおしてのトータルスコアは4-4となり、アウェーゴール数で上回った浦和が準々決勝を突破した。
“FW槙野智章”の劇的ゴール。それをもたらしたのは、リカルド監督の“試合前日の思惑”と、槙野の“陰の努力”だった。
■試合結果
川崎フロンターレ 3―3 浦和レッズ
■得点
8分 江坂任(浦和レッズ)
40分 レアンドロ・ダミアン(川崎フロンターレ)
77分 山村和也(川崎フロンターレ)
83分 ジョアン・シミッチ(川崎フロンターレ)
87分 キャスパー・ユンカー(浦和レッズ)
94分 槙野智章(浦和レッズ)