【ラ・リーガ分析】自慢の攻撃陣につくり出した「偽トップ下」【名将アンチェロッティに託されたレアル・マドリード「再生」】(1)の画像
ベイル(中央)、ベンゼマ(右)は、再会したアンチェロッティを救えるか 写真:原悦生

 2度目の挑戦が、スタートした。
 昨季限りでジネディーヌ・ジダン前監督が退任したレアル・マドリードは、後任としてカルロ・アンチェロッティが新監督の座に就いた。2013年から2015年までチームを率いたイタリア人指揮官に、セカンドチャンスが与えられた格好だ。

■3トップの位置関係の変化

 GKティボ・クルトゥワ、DFダビド・アラバ、ナチョ・フェルナンデス、エデル・ミリトン、ルーカス・バスケス、MFカゼミーロルカ・モドリッチ、フェデリコ・バルベルデ、FWエデン・アザールカリム・ベンゼマ、ガレス・ベイル。これが、アンチェロッティ監督が大事なラ・リーガ開幕節のアラベス戦に送り出したスタメンである。

 ジネディーヌ・ジダン前監督がコンバートを成功させたL・バスケスの右サイドバック起用は引き継がれた。一方で、ジダン政権では基本的に右インサイドハーフに固定されていたモドリッチが、左インサイドハーフに入った。この辺りが、アンチェロッティ監督らしい。良いと思ったものを継続しながら、少しずつてこ入れしていくのだ。

 今季初の公式戦では、3トップにベンゼマ、ベイル、アザールが並べられた。2018年夏にクリスティアーノ・ロナウドユベントスに移籍して以降、R・マドリードの攻撃の中心になってきたのがベンゼマだ。ベイルとアザールに関しては、クラブが高額な移籍金を支払って獲得した選手である。ベイル(2013年夏加入/移籍金1億500万ユーロ/約132億円)、アザール(2019年夏加入/移籍金1億ユーロ/約130億円)と、いずれも大きな期待を背負い続けてきた。

 期待とは責任に他ならず、重圧とともにたび重なる負傷に苦しめられてきた2人でもある。だがアンチェロッティ監督は、あえて彼らの”実績”に賭けた。

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