■攻撃に厚みを出す手段
近年のR・マドリードでは、クリスティアーノ・ロナウドがいなくなったことで、左のスペースをベンゼマが頻繁に使っていた。その際、ベンゼマが空けたスペースに誰が飛び込んでいくか、という課題があった。
今回のアンチェロッティの試みでは、やや状況が異なる。ベンゼマがサイドではなく中央に落ちるため、真ん中の人数不足という問題は解決されるのだ。
ベンゼマが空けたスペースに、ウィングのアザールやベイルが走り込む。あるいは、ベンゼマ自身が一旦ボールをさばき、自らゴール前に入っていってもいい。サイドに開くより、中央に引いてからゴール前に走る方が、時間的にも距離的にも効率が上がる。
加えて、モドリッチやバルベルデといったインサイドハーフがそこに顔を出すことができれば、迫力のある攻撃が可能になる。
中央の人数不足が解消されれば、攻撃に厚みが増す。それは個の能力が高い選手がそろうR・マドリードのようなチームにとっては、大きなプラスだ。
まだ試験は始まったばかりであるが、「可能性」は示されている。