■「戦術理解を上げるためのドローン映像を」

——大きな期待を受けて、WEリーグがスタートします。何か思うところはありますか。

片山「近年、世界的に、女子のサッカーにスポンサーがつき、男子ほどではないがプロ化されて、安定してサッカーに集中できる環境が整いつつあると思います。それを目の肥えた人が見に来ます。重要なのはメディアの役割であると思っています。メディアが的確な問いを発し、監督や選手がそれに答えるという環境が重要になってくると思います」

——サッカーについては?

片山「なでしこジャパンが今回のオリンピックで直面した問題、WEリーグには、それを乗り越えようという志が必要です。勝ったり負けたりで一喜一憂するのではなく、世界に対抗できるサッカーを生んでほしいと思います」

——心配な点はありませんか。

片山「集客面、資金面、選手の契約内容など、いろいろありますが、やはりたくさんのお客さんに見に来てもらえるのかというところがいちばん気になります。ドイツの女子ブンデスリーガでも、たとえばバイエルン・ミュンヘン対ザールブリュッケンといった人気カードだと4000〜5000人がはいりますが、カードや天候によっては500人という試合もあります。地域の女の子たちをどう引っぱってくるのか。小学生と女子選手は無料にするなどの方策が必要かもしれません」

——ドイツでもそんな状況ですか。

片山「でもスポーツニュースにはきちんと取り上げられますよ。メディアの姿勢というものが、スポーツを育てるうえでとても大事だと思います」

——何か具体的な提案はありませんか。

片山「ドローン撮影はどうでしょうか。中継用ではなく、戦術理解を上げるためです。フルマッチでなくても、たとえば15分間のドローン映像があれば、監督やコーチも問題点を明確にできるし、選手たちにも伝えやすくなって、戦術理解のスピードは格段に高くなります。そしてそれを教材にし、改善のためのトレーニングをつけた映像を地域の少女チームに配布したら、日本の女子サッカーのレベルアップに大きく役立つはずです」

——非常に興味深いアイデアですね。

片山「せっかく新しく始まるのだから、Jリーグにもできない新しいことを考えていくべきだと思います。心配もありますが、WEリーグにはとても大きな期待感をもっています。日本の女子サッカーだけでなく、日本のサッカーを引っぱっていくという気概をもってほしいと思います」

——きょうはさまざまな話をありがとうございました。

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