■名将チャップマンからの提案
さて、この連載では、過去に背番号の話を2回書いてきた。最初は第4回の「14番」の話、そして2回目が第32回の「13番」の話である。今回は、「ちょっと変わった背番号物語」その1である。
19世紀にサッカーが誕生したころには、背番号などなかった。ワールドカップでも、戦前の大会では背番号は付けられておらず、1950年大会では、試合中の選手交代が認められていなかったこともあり、試合ごとに先発する11人が1番から11番をつけるという形だった。大会を通じて同じ選手が同じ番号をつけることになったのは、1954年のスイス大会以降のことである。サッカーはあくまでチームゲームで、誰が得点したのかなど、個人の記録には無頓着だったのだろう。ピッチの上で交錯する選手が誰なのか、背番号はそれを知るために必要になったものである。