■フランス戦は主力を温存するべきだった
では、短期的な解決方法はあるのだろうか? つまり、次のワールドカップでベスト8以上に進出し、また3年後のパリ・オリンピックで決勝に進出するための方法だ。
再び、東京オリンピックの戦いを振り返ってみよう。
メダル獲得を目指すためには、準決勝以降(6試合目)にも“ゲーム体力”を残しておくことが必要だった。そして、実際には日本は3位決定戦では“体力”は残っていなかった。
とすれば、考えられる方法はどこかで主力を休ませることしかない。
チャンスは、グループリーグの3試合目、フランス戦だった。
日本は開幕から2連勝していた。相手のフランスは1勝1敗。日本は引き分け以上はもちろん、1点差の負けでも準々決勝進出が決まるという状況だった。
それなら、中心選手である吉田や酒井、遠藤、田中、堂安、久保といった選手を休ませることはできなかったのか? 吉田、冨安がセンターバックの中心だが、冨安は1、2戦目に欠場していたから、フランス戦でプレーする必要があった。従って、センターは冨安と板倉に任せるべきだった。遠藤、田中もどちらかを休ませるか、45分ずつのプレーに限定してもよかった。イエローカードの累積を考えても、そうした方策を取るべきだったかもしれない。攻撃陣も同様だ。
だが、森保監督はフランス戦でもベストメンバーを並べることを選択した。
もちろん、フランスに大敗したら、グループリーグ敗退となってしまうのだから、主力を休ませるのは一種のギャンブルだった。もし、そのギャンブルに負けたら、監督は一身に非難を浴びることになる。
ベスト8進出が目標なのであれば、フランス戦もベストメンバーで戦うべきだ。だが、今回のUー24代表は「目標は金メダル」と公言していたのである。準々決勝、準決勝を勝ち上がって、6試合目にも格上の相手に対して戦い抜くためには、どこかで主力を温存する試合を作るべきであり、フランス戦ではギャンブルをすべきだったのではないだろうか。