■日本とメキシコの決定的な違いとは
実際、3位決定戦の序盤の戦いでは、それまでの試合に比べて日本選手の動きは明らかに悪かった。
PKを取られた場面を考えても、吉田麻也からのボールが右サイドに入り、堂安律、久保建英、酒井宏樹がからんでボールをつなごうとした時にメキシコの選手がプレッシャーをかけてきたのだが、中途半端につなごうとしてボールを奪われてしまう。ここで、一番の問題は判断の遅さだった。ボールを奪われては危険な状況で、相手のプレッシャーが強かったのだから、簡単に前に蹴ってもよかったし、タッチラインに出してもよかっただろう。
そして、奪われたボールが前線までつながる間にもDFの戻り方自体が遅かったし、守備の連係がまったくできていなかった。
これまでの試合だったら、たとえ数的不利の状況でも日本の守備陣は互いに連携しながらクレバーに対処してピンチを切り抜けてきた。だが、この時はすべてのプレーが後手を踏んで、最終的には遠藤が無理にボールを奪いに行って反則を取られることになった(あのプレーが反則なのか、あるいはペナルティーエリア内だったのかはよく分からなかったが)。
2失点目にしても、危険な位置でFKを取られたことも含めて、あまりにもあっさりとした失点だった。
日本の選手たちは疲れ切っていた。フィジカル的にはもちろん、メンタル的な疲れも大きかったのだろう。
当然である。酷暑の中で、中2日の6試合目。準々決勝、準決勝と2試合連続で延長戦を戦い、とくに準決勝ではスペインの猛攻にさらされたのだ。スペイン戦は一瞬もスキを作ってはいけない、大変にプレー強度の高い試合だった。
その疲れが、中2日で取れるわけはない。
しかし、相手のメキシコも日本と同じ日程での6試合目。あまりメンバーを変えることなく戦ってきたし、準決勝ではブラジルと顔を合わせて延長・PK戦まで戦っている(準々決勝の韓国戦は90分以内で決着していたが)。だが、少なくとも3位決定戦の立ち上がりの彼らの動きは、日本を凌ぐものだった。
日本のサッカーがアテネ・オリンピックの時代からあらゆる意味で進歩していることは間違いない。だが、しかし、日本選手の“ゲーム体力”はまだ世界のトップと比較すれば劣ると言っていいのかもしれない。