東京オリンピックサッカー総括(1)なぜ日本の「鉄壁の守備」は破られたのかの画像
吉田麻也 写真/中地拓也

メキシコとの3位決定戦に敗れた東京オリンピック日本代表は、手ぶらで家に帰ることになった。しかし、さまざまなサッカーの果実を得ることもできた。なかでも貴重だったのが、「次のワールドカップでベスト8以上に進出し、また3年後のパリ・オリンピックで決勝に進出するための方法」だ。これを有効に活用できるのか、宝の持ちぐされに終わらせてしまうのか。そこに日本サッカーの明日がかかっている——。

■史上最強の守備陣が前半だけで2失点

「金メダル」を目標として掲げて戦ってきたU—24日本代表の冒険は、3位決定戦の前半22分、メキシコにFKからの2点目を許した時点で事実上終わってしまった。

 東京2020の戦いを通じて、日本はオーバーエイジ枠の吉田麻也主将を中心として守備が機能していた。グループリーグでの失点は2戦目のメキシコ戦の終盤、FKからのボールが直接入ってしまう事故のような失点のみ。準々決勝はスコアレスドローでPK戦勝ち。そして、準決勝でも延長後半の115分まで失点することなく、A代表並みの力を持つスペインの猛攻に耐えていた。

 その日本が、3位決定戦では開始早々の11分に遠藤航のファウルでPKを取られ(ゴールは13分)、そして、22分にFKから2失点目を喫してしまう。

 この大会で初めて先制ゴールを奪われたのだ。もちろん、2点のビハインドも初めての経験だった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4