■「売れない選手」が示す事実

 メッシの年俸は、再契約に際して大幅に減額されたと言われるが、それでも2000万ユーロ(約26億円)以上にはなったとみられる。いまだ、世界トップクラスの年俸である。その他にも、フィリペ・コウチーニョミラレム・ピアニッチなど、ワールドクラスの高給取りは多い。費用対効果を考えると、彼らはレギュラークラスの選手でなければならない。常に試合に出ていれば、マーケットが開いた際に、売却できる可能性がある。翻すと、コウチーニョやピアニッチになかなか買い手がついていない状況は、バルサのこれまでの間違ったアプローチを証明してしまっている。

 国内ではタイトルを手にしているものの、バルセロナのビッグイヤー獲得は2014-15シーズンにまでさかのぼらなければならない。ジョゼップ・グアルディオラの下でのような栄光の日々は遠い。もちろん今季も、バルセロニスタはチャンピオンズリーグのタイトルを待ち望み続ける。シーズン前から、移籍市場のにぎわいにも一役買うことだろう。

 しかしバルサは、とんでもない形で移籍市場どころか、世界中を驚かせてしまった。メッシの放出は最大かつ最後の、そして最悪の手段だったが、これで事態が収まるかは分からない。メッシの退団問題は、バルセロナの深い闇の一端をあぶり出しているに過ぎないのだ。

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