まさに青天の霹靂だった。リオネル・メッシが、バルセロナを退団した。
退団前にも、バロンドール(FIFAバロンドール含む)を6度受賞している選手が、フリーの身になっていた時期があった。過去、フットボールの世界でこのような前例はない。
契約満了後、メッシと再契約で基本合意に至ったが、一転して退団へと至った。これは単なる一つの問題ではない。バルセロナの裏には、すでに深い闇が見えていたのだ。
■バルサが狙う「一石二鳥」
バルセロナの2021-22シーズンの総年俸額上限は1億6000万ユーロ(約208億円)前後になると言われている。サラリーキャップの問題を解決しないと、何とか再契約にこぎ着けようとしたが、たとえ契約を結んだとしても、メッシを選手登録することが、ルールによって許可されない状況が生まれていた。加えて、新たに獲得したエリック・ガルシア、メンフィス・デパイ、セルヒオ・アグエロ、エメルソン・ロヤルという選手も登録できず、何ら戦力的な上乗せができない事態に陥ってしまうことになる。
そのような状況で、青天の霹靂のメッシ退団発表の前にも、アントワーヌ・グリーズマンの移籍話が持ち上がっていた。サウール・ニゲスとのトレードでアトレティコ・マドリード復帰、というものだ。
これは単に、ピッチ上のパフォーマンス評価によるものではない。クラブ首脳陣が思い描くのは、グリーズマンを獲得した際の移籍金のうち、まだ支払い切っていない額を帳消しにする、という算段だ。さらに、グリーズマンを放出することになれば、2100万ユーロ(約27億円)と推定される年俸を支払わなくて済む。バルセロナとしては一石二鳥というわけだ。