■ピッチ外でも悩ましい選手たち

 もうひとつ挙げられるのが、移籍金あるいは契約解除金と減価償却費の問題だ。

 バルセロナでは選手を獲得した際、移籍金や契約解除金というコストが無形固定資産として扱われ、獲得時の契約年数によって減価償却が行われる。

 クラブは選手を買い取った際、相手クラブに支払う移籍金を全額支払いが終わっていたわけではない。

 例えば、アントワーヌ・グリーズマンのケースだ。2019年夏にアトレティコ・マドリードから獲得した際、バルセロナはグリーズマンと2024年夏までの5年契約を結んだ。獲得資金は1億2000万ユーロ(約156億円)だった。

 バルセロナはその金額を5年の分割で支払うという選択をした。グリーズマンのケースで言えば、現時点で7200万ユーロの支払いが残っている。

 その他にも今年1月の段階で、すでに多額の支払いが残っていた。ざっと挙げるだけでも、アヤックス(獲得したのはフレンキー・デ・ヨング。以下、同)に4800万ユーロ(約62億円)、リヴァプール(フィリペ・コウチーニョ)に4000万ユーロ(約52億円)、スポルティング・ブラガ(フランシスコ・トリンコン)に980万ユーロ(約12億円)、ベティス(ジュニオール・フィルポ)に900万ユーロ(約11億円)、パルメイラス(マテウス・フェルナンデス)に460万ユーロ(約6億円)の支払いが残っていたとされている。

 彼らのバルセロナにおけるパフォーマンスは不安定だった。さらにはカネに関しても話題が続かず、うやむやになってしまった。

 なかでも不透明なのが、ジュニオールのケースだ。この夏にリーズに移籍金1500万ユーロ(約19億円)で売却したものの、そもそも買い取った際のベティスへの支払いがどのように片付いたのか、曖昧なままになっている。選手を獲得した際の成否は、数字で表されなければならない。スポーツ的側面のデータのみならず、売買した際の収支も加えて判断されるべきなのだが、その判断を下すことが、バルサでは難しくなっているのだ。

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