まさに青天の霹靂だった。リオネル・メッシが、バルセロナを退団した。
退団前にも、バロンドール(FIFAバロンドール含む)を6度受賞している選手が、フリーの身になっていた時期があった。過去、フットボールの世界でこのような前例はない。
契約満了後、メッシと再契約で基本合意に至ったが、一転して退団へと至った。これは単なる一つの問題ではない。バルセロナの裏には、すでに深い闇が見えていたのだ。
■会長交代で明らかになった問題
バルセロナでは、今年3月に会長が交代した。
昨年夏のメッシ退団騒動は、記憶に新しい。完全に冷めきっていたメッシとジョゼップ・マリア・バルトメウ前会長の関係が招いた危機だった。最終的にはバルトメウが辞任に追い込まれ、およそ5カ月の空白期間を経て、会長の座にジョアン・ラポルタが就いた。
ラポルタの会長就任で、メッシとクラブの関係は改善された。元々、2003年から2010年まで会長を務めたラポルタとメッシの関係は良好だった。信頼は回復され、”愛”という面では問題がなくなった。しかし、愛情だけですべてを解決できるわけではない。”金”という身もふたない現実が、バルセロナを襲っている。
バルセロナは現在、多額の負債を抱えている。短期で7億ユーロ(約910億円)、長期で11億ユーロ(約1430億円)の負債が、このクラブにはあると言われている。
なぜ負債がここまで膨れ上がってしまったのか。理由は、いくつかある。
まず、バルトメウ政権では、負債の計算方法がそれまでと異なっていた。以前より基準の緩い計算の仕方で弾き出した負債額を、ソシオ総会に提出していたのだ。クラブ規約に負債の計算法は定められていないが、当然ながらグレーゾーンの行いだ。