■“西高東低”なスタジアムのサッカー観戦環境
大会前に、日本代表の準備試合の多くが行われた西日本にはサッカー専用スタジアムがいくつもあったのに、オリンピック本大会で使用された東日本のスタジアムはほとんどが兼用競技場だった。
これは、いったいどういうことなのだろうか?
考えてみると、通常時には日本代表の重要な試合の多くは首都圏のスタジアムで開催されるが、そのほとんどが陸上競技兼用なのだ。そのため、最近はワールドカップ予選はほとんど埼玉スタジアムで開催されている。
首都圏で国際試合に使用されるスタジアムのうち、「サッカー専用」は埼玉スタジアム2002と(やや小規模な)フクダ電子アリーナだけであり、日産スタジアム(横浜国際総合競技場)、味の素スタジアム(東京スタジアム)、そして新国立競技場はいずれも陸上競技場である(味の素スタジアムは日本陸上競技連盟による公認期間が満了となったため陸上競技に使用できず、現在はトラック部分に人工芝が敷き詰められたままになっているが、スタンドとピッチとの位置関係は陸上競技場と同じであり、専用スタジアムに比べて試合が見にくいことに変わりはない)。
首都圏外の関東地方全域を考えても、国際試合が開催できる大規模な専用スタジアムはカシマだけなのだ。つまり、サッカー専用スタジアムの数は間違いなく“西高東低”なのである。