後藤健生の「蹴球放浪記」連載第69回五輪取材「お楽しみは生ザッピング」の巻(1)世界最高峰を「覗き見」の画像
ソウル五輪の陸上競技の入場券。サッカーではソ連が優勝 提供/後藤健生
サッカー以外のスポーツ観戦も楽しんだ思い出のチケット

 過酷な放浪生活が続いていると、時には癒しが欲しくなる。そんなある日、サッカー競技場のとなりの体育館を覗いてみると、世界トップレベルのスポーツの試合をやっているではないか。これは絶好の機会に他ならない。さまざまなスポーツを知ることが、サッカー観戦時の理解の幅を広げ、分析に深さを与えてくれることだろう。というわけで、オリンピック期間はせっせと様々なスポーツ観戦に敬意をもっていそしむ次第。ただし、いつもとは違うリラックスした姿勢になるのは致し方のないことかと……。

■メルボルンの長方形競技場

 オリンピックの思い出シリーズ。最終回の今回は、オリンピックならではの他競技観戦のお楽しみというお話です。

 現在行われている東京オリンピックでは、サッカーのUー24日本代表が「死のグループ」とも言われたグループAを3戦全勝で突破。メダル獲得に向けて順調なスタートを切りました。

 かつて、サッカーの日本代表がアジア予選を勝ち抜けず、オリンピックに出場できない暗黒時代が続きました。当然、テレビでもサッカーの中継は皆無に近く、「オリンピックでもサッカーってやってるんですか?」とよく聞かれたものです。その頃を思うと日本代表の試合が男女ともすべて生中継される現在は夢のよう。しかも、最近はネット配信を使えば日本以外の試合もすべて見られるのです。ありがたいことです。

 ただ、そうまでしてサッカーの試合を見ているよりも、やっぱりオリンピックの最大の楽しみはチャンネルをザッピングしながら様々な競技を“覗き見”することでしょう。

 サッカーは23歳(今大会は24歳)以下の大会ですが、他のほとんどの競技では世界最高峰の真剣勝負が見られるのです。

 今年の大会は各競技で日本選手が好調のようで、体操の個人総合でも橋本大輝が金メダルを獲得しました。体操はそれこそ1960年代、70年代には「日本のお家芸」でしたが、当時と比べると最近の体操競技のレベルの高さには目を見張らせられます。

「ザッピング」はテレビ観戦の場合だけでなく、実際に現地に行った時の楽しみでもあります。つまり、サッカーの試合を見に行った時についでに隣の体育館を覗いてみると、そこですごいレベルの試合が見れたりするのです。

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